ニュース
ローソン、「冷凍おにぎり」拡大 賞味期限1年・常温より安い
2025年5月9日 14:39
ローソンは、東京都の約400店舗で展開している冷凍おにぎりの取扱い店について、5月13日から新たに東京都、神奈川県、千葉県、茨城県、栃木県、山梨県の約1,300店舗を追加し、計約1,700店舗に拡大する。ラインアップは4品で、価格は140円から279円。常温おにぎりと比べて1~2割安い価格となる。
冷凍おにぎりは、電子レンジで解凍して食べる商品。「焼さけおにぎり」(279円)、「鶏五目おにぎり」(157円)、「胡麻さけおにぎり」(140円)、「わかめごはんおにぎり」(140円)をラインアップする。常温おにぎりの類似商品は、「金しゃりおにぎり 焼さけハラミ」(297円)、「阿波尾鶏の鶏五目おにぎり」(181円)、「胡麻さけおにぎり」(167円)、「わかめごはんおにぎり」(167円)。
常温おにぎりよりも安くできる理由は、賞味期限が1年と長く、一括製造して作り置きができるため。常温おにぎりの場合は毎日製造しており、また消費期限は約1日。毎日製造するためには日々変動する製造数に合わせて、人材を確保する必要がある。一方の冷凍おにぎりは作り置きが可能で、店舗に配送しない分は倉庫で冷凍保管できる。
こういったことから、計画製造数と実際の製造数にズレが生じないため、原材料の廃棄ロス削減につながる上に、店舗での廃棄ロス削減にもつながる。加えて、常温おにぎりと異なり作る時間帯の指定がないため、常温おにぎりの製造スタッフが隙間時間に冷凍おにぎりの製造に携わることができる。
さらに店舗への配送においても、常温おにぎりの1日2回に対して冷凍は1日1回で済むため、配送の集約化にもつながる。これらの各削減効果によりコストを抑え、より安価で提供できる。また、配送におけるCO2排出量削減も見込める。
原料と製法については鶏五目、胡麻さけ、わかめごはんは常温おにぎりと同様。焼さけのみ使用している米と一部製法が異なるという。製造工場は常温・チルド商品と同じ工場で、常温おにぎりを急速冷凍している。そのため「製造直後の味を温めてすぐに楽しめる」(ローソン 西川大樹氏)という。
パッケージは、レンジで温めた直後のおにぎり自体が熱くなった状態でも持ちやすいようにするため、常温おにぎりと異なり横長を採用した。
保存用ではなく、買ってすぐに食べる冷凍食品
冷凍食品は保存用に購入する人も多いが、ローソンでは冷凍おにぎりを即食ニーズに応える商品と位置付ける。購入後、店内のレンジで温めてすぐに食べられることを訴求するため、売場にPOPを掲出する。
また、おにぎりを求める人は常温おにぎり売場で商品を選ぶことから、常温売場に冷凍売場にもおにぎりがあること示すPOPで誘導を図る。
ローソンでは22年から即食ニーズに応える冷凍食品の販売に取り組んでおり、22年11月から23年2月に東京都内の1店舗にて冷凍弁当の実験販売を実施。その後、23年8月から11月に福島県、東京都の21店舗で冷凍おにぎり、24年4月から6月に東京都の10店舗で冷凍寿司、24年9月から11月に冷凍調理パンの実験販売を行なった。
これらの取り組みの中で、冷凍おにぎりと冷凍調理パンはそのほかの即食性のある商品とあわせて購入されるケースが多く見られたという。冷凍寿司については常温寿司と同様の購入傾向は見られず、即食ニーズは高くないものと判断した。ただし、冷凍寿司は市場にあまりないことから、独自需要を創出し、冷凍食品カテゴリーの売上増に寄与することは確認できた。
冷凍おにぎりと冷凍調理パンの比較では、売上実績と即食性がより高かったのは冷凍おにぎりであったことから、25年2月から東京都の約400店舗で本格販売を開始。常温おにぎりと同様に惣菜、デザート、ベーカリーとの買い合わせが多く、かつ即食目的で昼に購入された。購買層は30~50代の男性・女性が中心で、この点も常温おにぎりとほぼ変わらない傾向が見られた。
こういった結果から、常温おにぎりの代替として支持されているという判断で、関東約1,700店舗に拡大する。関東の中でも埼玉県や群馬県が入っていないが、商品を製造している工場の管轄地域の関係。
今後の冷凍おにぎりの取扱い店舗数については、11月までに約2,000店舗、26年9月までに約4,000店舗、26年度中に冷凍ケースが備えられた国内の全店に拡大することを目指す。