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ペアーズ、“オフライン”強化と韓国進出で次の成長へ
2025年5月13日 17:02
マッチングアプリ「Pairs」(ペアーズ)を提供するエウレカは、東アジアを中心とした本格的な海外進出や、日本国内のオフライン施策の強化など、今後の戦略を明らかにした。
結婚を含めた“真剣な出会い”を求めるユーザー向けの恋活・婚活マッチングアプリにおいて、ペアーズは外部調査で利用率1位となっている。累計登録数は2,500万人で、このうち新規登録者は過去3年で500万人増加するなど堅調に推移している。安全面では、取得したアプリが8つしかないという、外部機関による「IMS認証」を取得済み。技術面でもマイナンバーカードのICチップの読み取りへの対応や、AIを活用して悪質なユーザーを取り締まるといったサービスの強化を続けている。
一方で、「これまでの延長線上の戦略ではダメ。さらに挑戦しないと」(エウレカ 代表取締役CEOの山本竜馬氏)として、今後の成長のための4つの方針を明らかにしている。その中でも特に注力するのが、海外展開と、オフラインの価値を高める施策。
ペアーズ韓国版でアジア展開開始
海外展開は、「(国内市場は)課題が何か分かっているので愚直に取り組んでいくが、(効果が現れる)スピード感は分からない。成長のゴールという意味では、他国展開は必須になる」(山本氏)というように、今後の成長を見据えたもの。
第1弾は、文化的にも日本と近いという韓国が選ばれた。韓国はマッチングアプリ市場の拡大余地が大きく、真剣な出会いを求めるタイプのアプリがこれから広まる段階で、参入に適した時期と分析。3月にサービスインしており、広告では日本のペアーズでも好評な「本音マッチ」の効果をアピールしているほか、旬なインフルエンサーを起用、屋外広告やソウル市内を走るバスのラッピング広告などで積極的に認知拡大に努めている。
エウレカは2017年にも韓国でマッチングアプリを展開していたが、ペアーズとは別に開発したもので「結論としては、時期尚早だった」(同)ため、テスト版の位置付けで終わったという。
今回の海外展開にあたっては、日本で展開している「ペアーズ」の内容を各国でも展開できるよう「総動員で一から開発しなおした」(同)のが特徴。「10年以上日本だけで展開してきたものを、各国で展開できるものにした。大きな挑戦だ」(同)というように、ペアーズと同じコンセプトや機能を持ったまま、細部を各国の事情に合わせてカスタマイズして提供する形になっている。例えば「本音マッチ」の質問内容は、各国ユーザーへの調査結果を反映したものになっているという。
なおエウレカは、Tinderなどを展開する米Match Groupの100%子会社。海外展開はMatch Groupの知見も活かす一方、カジュアルなデートアプリとは棲み分けていく方針。
“不利なプロフィール”を打開できる? オフライン施策の拡大
ここ数年は、さまざまな“オフライン”施策にも積極に取り組んでいる。ペアーズと各社が連携する形で、例えばカラオケやJリーグの試合観戦といったイベントを企画、一緒に過ごすことで、オンラインのプロフィールだけでは分からない魅力の発見につなげようというものになっている。
「利用に抵抗を感じている人の中には、会った時のプロフィールとのギャップが怖い、という人もいる。外見が(プロフィールと)違っても、本音の部分、内面はマッチングしているというのが本音マッチング。ただ、そもそもプロフィールで選ばれる(最初にふるいに掛けられてしまう)という現実がある。例えば、プロフィールで年収の低い男性、背の低い男性は、(事実として)選ばれることが少なくなる。そこで、オフラインが鍵になる。会って話したら、年収や背は気にならなくなった、ということが起こる」(山本氏)。
こうした婚活マッチングイベントは、過疎化が課題の地方自治体だけでなく、東京都など大都市でも行政側が企画して開催されるようになっており、ペアーズもそうした取り組みと連携し支援していく方針。「行政から店舗まで、いろんなコンテクストでオフラインへ拡大していきたい」(エウレカ ビジネスディベロップメント ダイレクターの本多由美氏)と、今後も“オフライン”を強化していく。