ベゾス氏出資のEV「Slate」始動 格安ピックアップトラック

Slate Truck

米国のEVスタートアップ「Slate Auto」が、第1弾となる2人乗りEVピックアップトラック「Slate Truck」を発表した。米連邦政府の補助金込みで20,000ドル(約286万円)を切るという比較的手頃な価格と、割り切ったシンプルさ、購入後でもDIYを含む広範なカスタイマイズに対応するのが特徴。米国で予約受付が開始されている。出荷時期は2026年末と報じられている。Slate Autoの資本構成は公開されていないが、Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏が主要な出資者とされる。

テスラが米国で販売する中で最も安価なEV「モデル3」(Long Range)は、42,490ドル(約611万円)。ピックアップトラック型の「サイバートラック」は49,890ドル～(約718万円)となっている。モデル3は連邦政府の補助金(税額控除)の対象外だが、今回の「Slate Truck」はおよそ半額で登場する形で、仮に補助金を考慮しなくても米国産EVとして競争力のある価格帯になる。

Slate Autoは発表の中で、「手頃な価格の定義が崩壊している」と指摘、EVが高級化に甘んじていることを暗に批判し、そうした高級EVに手を出せない「自動車業界に無視されてきた人」に、「力を取り戻させる」とアピールしている。また米国の各地に拠点を構えて生産する米国製であることも強調している。

ピックアップトラップとしてのサイズ感にも言及。巨大化(そして高額化)している米自動車メーカーのピックアップトラップより大幅に小さく、1985年に米国で発売されたトヨタのSR5ピックアップ(ハイラックス)と同等のサイズとしている。

Slate Truckは、製造工程の工夫と徹底した簡素化でコストを削減し、手頃な価格を目指すEV(電気自動車)。Blank Slateと呼ぶ基本の状態では、スチール製のホイール、手回しのクランクで開閉するドアウィンドウ、センターにはエアコンノブを搭載するだけなど、割り切った仕様になっている。

情報システムの利用はスマートフォンやタブレットの装着が前提で、必要に応じて追加できるという専用タブレットも用意される。インストルメントパネルなどはブランク状態で、スピーカーを追加するといったカスタイマイズの対象になる。

荷台は、例えば後部座席やロールケージ、エアバッグを追加して、5人乗りのSUVにカスタマイズできる。Slate Truckのアクセサリーは100種類以上が用意され、購入時だけでなく購入後にもカスタマイズ可能。

ボディカラーのラインナップは塗装ではなくラッピングで対応する。ラッピングを前提とした設計になっており、従来よりも作業が簡単で、剥がすことで繰り返し変更できる。ラップキットの価格は500ドル(約72,000円)～。

一連のカスタマイズの作業は、ユーザー自身で行なうDIYのほか、プロに依頼することもできる。

標準搭載されるバッテリーは52.7kWhで、想定する航続距離は150マイル(約241km)。追加バッテリー搭載時は84.3kWになり、航続距離は240マイル(約386km)になる。量産前のため、航続距離は米EPAの公式推定値とは異なる。

充電ポートはNACS。充電時間は、3.6kWの場合で20%→100%にかかる時間が11時間、11kWでは5時間未満。120kWでは20%→80%が30分未満。車載充電器は11kW。

走行性能は、出力が150kW(201馬力)、トルクが264Nm。0～60mph(0～96km/h)加速は推定8秒。最高速度は90mph(約145km/h)。シングルモーターで後輪駆動。

フロントサスペンションはマクファーソンストラット、リアサスペンションはド・ディオンアクスル式のコイルスプリング。ホイールは17インチ。タイヤは245/65R17。

安全性能は、USNCAPの衝突安全評価で5つ星を獲得する想定で設計。機能として、トラクションコントロール、エレクトロニック・スタビリティ・コントロール(ESC)、前方衝突警告、自動緊急ブレーキ、エアバッグ、リモートキーレスエントリー、バックカメラ、歩行者識別機能、オートハイビームなどを備える。

荷台のサイズは幅が50～54.9インチ(約1.27～1.4m)、長さが60インチ(約1.52m)。フロントのボンネットの下も荷室になる。

車両重量は3,602ポンド(約1,634kg)、最大積載量は1,433ポンド(約650kg)、最大牽引能力は1,000ポンド(約454kg)。

全長は174.6インチ(約4.43m)、ホイールベースは108.9インチ(約2.77m)、全幅(ミラー除く)は70.6インチ(約1.79m)、全高は69.3インチ(約1.76m)。